それに加えて、6月20~22日にドイツ・ミュンヘンで開催した年次イベント「SUSECON 2023」では、「SUSE Linux Enterprise 15 Service Pack 5」(SP 5)の一般提供も発表した。Ghariwala氏によれば、SP 5での最大の強化ポイントがセキュリティになる。組織ユーザーにとって不可欠な各種セキュリティ要件への順守をサポートするために、セキュリティポスチャーの強力な可視化と、各種ワークロードやソフトウェアサプライチェーンの保護を図り、クラウドデータセンターからエッジにまたがる環境の安全性をOSレベルで強化する。「SP 5のセキュリティ機能ではOSレイヤー、NeuVectorではOSより上位のレイヤーをそれぞれ保護することにより、多層的なセキュリティ対策を講じられる」(Ghariwala氏)
SP 5に関連して、コンフィデンシャル(機密性)コンピューティング基盤と位置づける「Adaptable Linux Platform」(ALP)の提供も開始した。ALPは、機密性の高いデータを扱う仮想マシンの実行環境として、ワークロード保護や暗号化、多段階の認証、整合性監視などをハードウェアレベルから提供する。Ghariwala氏は、「クラウドからエッジにまたがる環境において多様なユースケースに即したセキュリティをALPが提供することにより、ユーザーはアプリケーションに集中できるようになる」と話す。ALPでは、3カ月ごとの機能更新も提供していく。
Ghariwala氏は、こうしたセキュリティ強化を含む一連の取り組みが顧客の変革とビジネスの成長を実現するためにあると強調する。同氏は、一例としてインドで最大規模のデジタル決済サービスを提供するNational Payments Corporation of India(NPCI)を挙げ、「NPCIは月間80億件ものトランザクションを処理するプラットフォームにRancher PrimeやNeuVectorなどのSUSEのソリューションを導入しており、大規模なKubernetes環境の展開に要する時間を従前の8時間から2時間にまで短縮し、同時にクラウドネイティブな環境に即したセキュリティレベルをオープンソースをベースに実現している」と述べる。
企業は Software as a Service (SaaS) アプリケーションを急速に採用し続けており、最近の調査によると、平均的な SaaS ポートフォリオは現在 200 以上のアプリケーションで構成されています。組織は従業員の生産性を高めるためにこれらの目的別ツールを購入する一方で、セキュリティの複雑化、コンテキストの切り替え、データサイロへの対応を迫られています。
Applications Innovation Day では、組織が SaaS アプリケーションを使用および保護する方法を改善するために必要なツールをご紹介します。終日開催されるセッションでは、業務遂行に最適なツールを従業員に提供しながら、データを保護する方法をお伝えします。また、適切なアプリケーションの組み合わせをサポートしてワークフォースのコラボレーションを改善する方法や、生成系 AI を安全かつ効果的に使用してより優れたインサイトを得るとともに、従業員の生産性を向上させる方法についても学びます。
国連は、各国の管轄区域を超えた海洋地域(BBNJ)の生態系保全を目指す「国連公海条約(UNHight Seas Treaty)」の締結を、19日に193カ国が参加した政府間会合で採択した。対象となる海域は地球全体の3分の2を占める。条約案は海洋環境の保全や海洋エコシステムの尊重、汚染防止、海洋生物多様性価値の保全等で、国際的に法的義務のある規制導入を目指す。現在は保全措置が取られている公海は全体の1%だが、これを国連生物多様性条約の「昆明・モントリオール生物多様性枠組」の陸域、海域の少なくとも30%を保全する目標と連動させ、2030年までに公海の約30%を保護するほか、海底の鉱物資源開発等での新たな規制を設けること等を目指す。
「公海条約」は、1994年に発効した「国連(UN Convention on the Law of the Sea)」を、気候変動、生物多様性保全、海洋汚染対応の3つの観点から全面的に改正・強化することになる。今回、条約案の採択に193カ国が合意したが、条約の発効には60カ国による正式な批准が必要。60カ国の批准後、120日で効力を発揮する。https://rief-jp.org/ct12/133291?ctid=65